して
勇敢に救助隊が活動します。
雪の伝説を探るには
東北地方へいらつしやい、
吹雪の中で
簪をさし白いウチカケを着た
幻の雪の精、雪女郎に
何人も何人もに逢ふでせう、
後からヒョコ/\と腰の曲つた老爺が
泣きながら風呂敷包を抱へて尾いてゆく
あなたもその後を尾いてゐらつしやい
すると彼女は廓といふところで
雪の白衣を脱いで
人絹の赤い長襦袢で
あなたを迎へるでせうから。
右手と左手
右手
なんて見下げ果てた奴ぢや
貴様はきのふ百貨店で
そつとカワウソの襟巻に
さはつて見たな
貧乏人のくせに
成り上り根性を出したりして
左手
わしはさはるにはさはつたが
だが、わしの意志ぢやなかつた
右手
誰の意志だ、
左手
脳の命令だつた、
右手
実にお前はけしからんぞ
おれはいつも尻を拭つてゐるんだぞ、
お前は労働を避けたがる
何一つ真先に働いたためしがあるか、
わしはペンで力いつぱい書く役だ
お前は紙の一端を
かるく押へるきりぢやないか
いつもぶらぶらしてゐるぢやないか、
プチブル野郎、
左手
いつも一緒に暮してゐる仲で
前へ
次へ
全75ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング