とりまぜ豆、豆、豆、
ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、
ジャアナリズムから
三頭橇《トロイカ》でお迎へだ、
お乗りなさい
愛嬌よく
ジャジャ馬は
ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャと
あなたを乗せて
何処までも。


徳永直へ

あなたを未だ曾つて世間で一度も
呼んだことがない風変りな
呼び方を私にさして貰ひたい、
『インテリゲンチャ作家徳永直氏よ』と
あなたはもう印刷工時代のケースの置場所も
忘れてしまつた頃だ、
それだのにみんなはよつて集つて
労働者作家だと胴上げする、
それはあなたの意志に反することに違ひない
そしてあなたを益々
ゴリキーにしがみつかせる
ゴリキーにばかり学んでゐないで、
たまには他のものも学んで下さい
ゴリキーも現実の一部だといふ意味に於てだ
大きな現実に学んで下さい、
もつとも
ゴリキーに尻尾があれば
もつと掴まり易いのだが
それがないのが残念だ。


林房雄へ

なんてこの男は
どこからどこまでも
騒擾罪を犯す男か、
思想的にも社交的にも、
巧みなタンバリン叩きよ、心得たものだ、
彼が太鼓の中心をうてば、
周囲の鈴共は
ヂャリンヂャリンと鳴るのだ
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