人で
雑誌『人民文庫』で
ムコを集めて
ヨメを探してゐるが
写真屋のリアリズムぢや
写真結婚は恨まれますよ、
さう詩的精神を
眼の仇にしないで
修正結構
ヱヤブラシ結構
見合の写真は
精々綺麗に願ひます
一緒になつてしまへば
どうせ馴れ合ふ性格だらうから
私があなたを諷刺したら
只では置かないと
茅場町会館の六階で
仰言つたさうだが
こんな汚らしい首でも
御所望とあれば差し上げたい
もつとも持参する誠意がないから
そつちから下界へ降りて来い。
大森義太郎へ
眼から火がでるほど
貧乏して
足から煙がでるほど
生活に駈け廻れば
民衆の思想も
少しはスパークするだらう、
あなたの唯物論ぢや
どこまで行つても
実験室もの、
フラスコの中のもの
犬もときどきは
棒杭を噛ぢらなければ
歯の琺瑯質が弱くなる
唯物論も噛つた程度でも
相当社会批判の
足しにはならう
手当をなさい
あなたの思想膿漏を
可愛がつておやり
あなたの放浪質を、
味方ではある
亀井勝一郎へ
君の哲学は
糠をかへないドブづけのやうに
永遠に腐つて行きたまへ
君の日本ロマン派の旗は
もう洗濯が利かなくなつた筈だ、
綿々
前へ
次へ
全32ページ中29ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング