同することをもつて一生を終れ、
あなたは真の貧者の求めてゐる自由の
思想に対しては
撫でるか引つ掻くかの
二つより選んだためしがない。
未だ曾つて握手したためしがない。
窪川鶴次郎君へ
「前号の僕に対する窪川君の文章はふざけ切つたもので真面目な回
答の必要を認めないので、この詩一篇を御歳暮に贈る」
僕は頼みはしなかつたよ、
君にこの世に生れてきてくれなどとは、
ところが宿命だね、
僕が生れてきてみると
君も生れてゐたことはね、
僕の文学の雑兵と
君の文学の幹部さまが
かうして現実に鼻突き合つてゐることは
理論もちがへば
肌も合はないよ、
生活もちがへば、
イデオロギーも喰ひ違ひさ、
お母さんがちがふために
かうもおたがひがちがふものかね
文明の世の中で僕は
ローソクの灯の下で詩を書いてゐるのは悲劇だね、
君はシャンデリヤの下で酔ひつぶれて
ヘドで詩を書いてゐる
月百五十円なければ暮らしてゆけないとは、
君の何処を押せば
さういふ良い音がでるのだね、
神よ、僕に月に十五円の定収入を与へ給へだ、
良い年をして甘つたれてくれるな
雑誌記者の前で法螺を吹くのはいゝさ、
だがそのまゝ法螺
前へ
次へ
全32ページ中27ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング