たはまだ鶴次郎に
ほんとうにドロを吐かせてゐない。
菊池寛について
文学に見切をつけて
馬鹿面をして口をあけて
馬の鼻つらを睨む
競馬ファンの一人に
加はつたことは聡明である
あなたさまの文学観、人生観、
すべて真理に関することごとくのこと
投機のごとく考へてゐるのは達観なり、
そして見事に『文芸春秋』は当つた
もつとも投機的である
競馬でアテたためしがないのは
いかなる人生の矛盾ぞや、
あなたの運命は
文学を始めたときからでなく、
競馬を始めたときから変りだしたのだ。
新居格について
自由主義者としての貴方は
その主張のアナキスチックな
個所を取り除けば立派だ
たゞ文章の中にいつも
マルキストを攻撃する章を加へることは
あなたの終始一貫して渝《かはら》ない信条
狡猾な生活上の『現状維持《ステータス・クオ》』の
方法でなければ幸いなるかな、
その立場からマルキストを
諷刺する勇気も勃然と起るだらうし、
時代の運行のハンドルを
逆に廻さうと努力する
腹黒い船長のやうな
役割を果すことができよう。
善哉《よいかな》。肥満人新居格氏よ、
身をもつて思想上では
無節操と自由とを
混
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