情してゐる、
醒めよ、評論にも肉体にも
一切の同情を避けよ、
孤立することを怖れる
君であつては
永遠に夜の世界を歌ふ
フクローに属するだらう。
横光利一について
純芸術の壁にぶつかり
なにかにと理由を附して
芝居がかりのロッポーを踏んで
花道から通俗小説へずり込んだ
こゝもあまり住み場所がよくなからう、
今度は日本に
ながい草鞋を履くか、
納得のできないのは
横光利一洋行説である
モダニズムを仕入に行くなら
話が解つてゐるが
ファシストになりにゆくなら
大枚の旅費を使はなくても
日本の中でも結構テーマに不自由はしまい
なんのための洋行ぞや
まあ、祖国を離れて日本に文学ありやなしや
といふ疑問にぶつかつてきたまへ。
窪川いね子について
あなたは
文学は女子一生の事業なりや
否やといふ疑ひは、もちますまい、
だが妻君稼業は
女子一生の事業なりや、否やといふ
疑ひはおもちでせう、
それが正しいのです、
ほんとうに世話のやける
亭主をもつたのが
あなたの不運ですよ、
同情しませう、
男の種類はアサリ貝の模様ほど
千差万別ありますが
泥を吐かしてしまへば
みんな同じ味ですよ、
あな
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