説を書く天分より、若くて乾分を飼ふ
技倆を賞めよう武田麟太郎[#「武田麟太郎」はゴチック]
彼は這ひまはるリアリズムの子猫共を舐めてゐる。
女の羽ばたきの弱さを売文する林芙美子[#「林芙美子」はゴチック]。
神よ、彼女が世界中の男を知つてゐるやうな口吻をもらすことを封じ給へ。
平素は遠雷のやうな存在
思ひ出したやうに作品を堕す
谷崎潤一郎[#「谷崎潤一郎」はゴチック]は御神体のない拝殿のやうに大きい。
依然として布団の中の宇野浩二[#「宇野浩二」はゴチック]
立派な顔をもちながら
モミアゲの長さより顔を出さうとしない。
三等品の毒舌を吐く大宅壮一[#「大宅壮一」はゴチック]は涙の袋さ
つまるところは人情家さ
センチになるかはりに憤慨するだけさ
もつと悪人になる修業しろ。
詩魂衰へて警察歌をつくる北原白秋[#「北原白秋」はゴチック]
歌壇に盤踞《ばんきよ》して、後陣を張る
歌壇組みし易しと見えたり。
帰朝者を迎へるお定まりの三鞭酒は
ポンポン抜かれた
佐藤俊子[#「佐藤俊子」はゴチック]よ、アメリカで育てた
あなたのイデオロギーに栄《は》えあれ。
丸山薫[#「丸山薫」はゴチック]は、だら
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