遊びをやつてゐるとき
どんなに君が酒臭い呼吸を
私の顔に吹つかけようとも――、
君は自分の思想を、夜の暗黒に手渡した
昨夜も、今晩も、都会の舗道にぶつ倒れ
滅びてゆく地球を
いたはるやうに体で温めてゐる、
しかし君の体が全く冷えきつたとしても
地球が滅びるやうなことはないだらう。
星の光りのやうに
信じがたい程
暗い、暗い、空のもとに
我等は生活してゐる、
暗黒と名づけようか、
この夜の連続的なふかさを――、
だがこの空の星の
光りやうを君は見落してはいけない、
空が暗ければ
星は光るんだ、
われらの意志のやうな
微妙な強さで
この空のものと
地上のわれらと交驩しよう、
星と人との
よろこびあひに
立会ふものは誰もゐない、
だが星や人間は
そのことを知つてゐる、
人間の皮膚の色に
艶がでたり、色がさしたり
若さから老に移つてゆくやうに、
星もまた若さから
老いてゆくであらうことを、
ただ星はそのために
一瞬間でも
光るのを停めただらうか、
ああ、我々の若さから
闘ひの移りゆく一瞬間にも
われらはたたかひの
意志の光を停めていゝだらうか、
ゆるしがたいことは――
あらゆる地上のも
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