上にのつけてごらん、おお、そしたら百姓の苦しみが判らあ、なんて土は重いんだ手の上のこいつの重さといつたら、まるで大地の重さだ、
○男子一、(絶叫的に)悲惨だ、百姓の智恵は悲惨だ、道徳は、悲惨だ。
○男子二、(耳をそばたてゝ)ゴーといふ風鳴りだ、
○男子三、(平然と落ついて)風の前には、かなはない。
○婦人一、でもすばらしい、百姓の小さな知恵が、大地の大きな苦しみを、大きな重みを知つてゐるんだから。
○婦人二、それは決して小さな智恵とはいへないでせう。
○男子一、学問のあるものはどうだ。
○男子三、労働に依つてではなく、思策によつて、
○男子二、大地の秘密を知らうとする、学者はどうだ。
○男子四、学生は、大地の重みを知つてゐるか、
○男子五、職工はどうだ、
○男子六、会社員は、大地の苦しみを知つてゐるか、
○合唱男子、あらゆる人々は、どうだ、
○婦人二、百姓は大地を、第一頁から読んでゆく、ものゝ三頁も読まないうちに、彼等は自然を理解してしまふ。
○男子四、学者は、非常な速度で読んでゐる、今一千頁目だ、だが大地の秘密はなか/\判らない。
〇合唱婦人、(強く)大地の重圧から人間を救へ、
○合
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