。
○合唱婦人、(哄笑)そこで今度は猪奴の腰の蝶つがひを撃つたといふ寸法でせう(笑)
○合唱いざり、いかにも、いかにも、
○合唱男子、そこで即座に人間が四人、けだものが四匹、(間)都合八つのいざり、それ以来この世に現はれたといふわけか
○合唱いざり、まあ、聞いて下さい旦那さま方、奥様がた、それ以来の、わしらの生活が(激しくススリ泣き)どのやうに惨めで惨めであつたかを。
○いざり一、猪獲りの名人が山を下りても、こんな惨めな腰格好じや、だれも迎へてくれない。
○いざり三、子供達にはマラソン競争を申込まれるし
○いざり二、物乞ひもしねえのに、帽子を脱いだら、チャリンと金を放りこみやがるし、
○いざり四、大[#「大」に「ママ」の注記]の野郎まで、(泣きながら)馬鹿にしくさつて、背くらべにやつてくる
○いざり一、そこでたまらなくなつて、村に引こんで百姓だ。
○男子一、(激しく)百姓になる、そいつは思ひつきだ。
○いざり二、(ふてぶてしく)我々片輪者は、人間に見放されたんだ(哀れ深く)だが自然にしがみついてゐる分ぢや、邪魔になるまいと思ふのさ、
○男子二、そこで馬にひつぱられて、膝頭で畑の土を掻き
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