ば、さに非ず
   熊かとみれば、さに非ず、(タンバリン)
○合唱男、たとへてみれば
   どういふ格好のものだ、
○合唱婦人、それは牙がニューと斯ういふ格好で突きでた、豚に似て非なるもの(タンバリン)
○合唱男、さては猪だな、(太鼓)
○合唱婦人、(歌)(女、タンバリンを叩きながら、男太鼓もこれに和す)
   やれ、やれ、やれ、やれ、
   嬉しやな、
   やれ、やれ、やれ、やれ、
   心が踊る
   やれ、やれ、やれ、やれ、
   敵を迎へて、
   心が踊る
   肩の鉄砲
   ダテには持たぬ
   ソッとをろして
   トンと大地を
   台尻でついた、
○いざり一、(極端に道化て)するとさすがに、猪奴は自然の子だ、わずかな土のふるへにも、ピタリと耳をふるはしたね。
○合唱男子、おゝ猪大王どの
   心おしづめ下さい、
   それなる岩の安楽椅子に
   おかけ下さい。
○合唱婦人、岩の椅子には
   紫の花
   紅のツタ、カヅラ
   金銀のキノコをもつて
   美々しく飾られ、
   口を伸ばすところに、
   真清水あり、
   手をのばすところに
   果実あり
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