ない。
○合唱男子(怒りを帯びて)男は、力のシンボルだ、憤怒の、怒りの象徴だ、(イザリに向つて)黙れ、イザリ、お前はさつきから其処で誰を待つてゐるのか。
○いざり一、(冷笑的に)あなたがたこそ、さつきから其処で、何を叫んでゐるのか、何処から来て、何処へ、おいでになるんです。
○青年一、(激しく)東から来て、北へ行くのだ。
○青年二、(更に激しく)前進だ、行かう、我々にとつて無目的な朝などは、たゞの一日もないのだから、
○青年三、(激しく)我々は太鼓をうち、このやうに、街をすぎ野を走る。
○青年四、(激しく)谷をわけいり、海をわたる、
○合唱青年、(高く)我々は集団的遊戯、行動を、訓練しなければならない。
○いざり一、(神妙に)敬意を払ひませう、若い時代に、刃向ふ古いものは、犬に喰はれますから、(突拍子もない高い声)諸君、緊急動議を提出します。勿論、御婦人方も参加して、すべての人々は討議に加はつて下さい、(低い、間をのばして)提案といふのはかうです。諸君、ワタシはなぜ腰が立たないんでせう。
(婦人合唱隊、タンバリン急打、男達之に和す、賑やかに、朗らかに、心が踊るやうな音)
(イザリ、二、
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