る硫黄の火よ
※[#「※」は「木へん+解」209−11]《かしは》を突裂《つんざく》雷火《いかづち》の前駆《さきばし》の電光《いなづま》よ、
わが白頭を焼き焦《こが》せ。
――ねいお母さん
バルダク、ボリシヱ[#「ヱ」は小文字]ウィチ
て知つてる、
彼女の傍にはいまでは十歳の少年がたつてゐる
母親の知らないこと柄を
日毎に新しくもちだしては母親を当惑させる、
――ねい、親父
僕お酒ちよつぴりのんでみたいんだよ、
――よからう
――だつてロシアのお伽話にでゝくる
バルダク、ボリシヱ[#「ヱ」は小文字]ウィチて
七つの子供なんだが
のんだくれで
いつも酒屋で寝てるんだよ、
するとキヱフの王さまが
トルコ王サルタンを攻めるのに
バルダクを大将に頼みにくるんだよ、
そしてバルダクは攻めていつて
――あゝ、あゝその次は判つたよ
敵のサルタンの七つの娘と
天幕《テント》の中で寝るんだらう
――さうだよ、さうだよ、
そして僕お酒をのんで
強くなりたいんだよ、
――そして天幕の中で寝るか
アハハハ
母親はオロオロとして
父親と息子
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