、冬の燃料のために、
おかみの所有物を盗んでゐるといふことを、
百姓の木を伐る手は、
泥棒をしてゐる、
だが*************、
一層悪いのは公然と
手も心も泥棒してゐる製材業者や
紙をつくる会社などであつた、
12
これらの人々は林の木を乱伐し、
切り終へたころ『山火事注意』と
山林省でたてた林の中の立札の下へ
ポイと煙草の吸殻を捨てゝゆく、
火はトド松の根元から
猛然と一気に梢まで駈けあがり
バリバリといふ機関銃のやうな音をたてゝ
樹から樹へと燃え移る、
そして十里も二十里も幾昼夜も
夜の空を真赤にこがし延焼し、
そして山火事がしづまつたころは
樹の伐り口の鋸の跡はみんな
焼け焦げて判らなくなつてしまふ。
若い山林官はそのこともよつく知つてゐる
だがそのことを知つてゐることは怖いことである、
胸に畳みこんでをくことはつらい
若しそのことを*********
**************。
そして世間の人々は
――なんていふ****、
樺太の事情を知らない、
*****
ときまつていふ、
そしてその批評の後には必ず
――長いものには巻かれれといふことがあ
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