いてゐたらいゝ、


君の心臓に風邪をひかせろ

手を拡げて立つてみろ
君はまるで
聖十字架そつくりぢやないか、
宿命論者臭く
ものおもひに沈んでゐる
智識階級は一米突実現をあるいた、
労働階級が十米突歩るく間に、
植物的諦《あきら》めの若さは
東洋的若さだ、
私は動物的若さをもつて
喰らひ、遊び、労働し、恋し、
そして闘ふ、
君も恋し給へ、
心臓が強くなるよ、
シャンと頭をあげて路をゆく
習慣もつけたまい、
市街戦の敵は高い窓にもゐる、
バルザック風に堂々と肩をそびやかし、
バイロンのやうに火薬をもてあそべ、
ロダンのやうに軽々と女をもちあげよ、
あらゆる動物的
あくどさのために友よ、乾杯しよう、
トルコ風呂の湯気の中の
ブルジョアジイ、
溶鉱炉の傍のプロレタリアート、
労働者のやうに
動物的に肉体を酷使できる
インテリゲンチャがゐるとすれば偉い、
これらのインテリも稀《まれ》にゐる、
だが多くは労働者への
秋波《ながしめ》で一生を終り
自分で気が済んで死んでゆく、
怖るべき
軽蔑すべき
階級的良心の合理化よ、
真に労働としての
智識の行動化のために
もつとも完全なインテリ的であれ、
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