つづいて
たいまつ、マンドロだ、
牛もうもう、猫にやんにやん、
なんと賑やかなこつた、
山七つ越して
河床、ひつくりかへして
もし砂金なかつたら
また、山七つ越すべいよ
そこにも砂金なかつたら
また、山七つ越すべい
そこにも砂金なかつたら
また、山七つ越して町へ出べい、
町へ出たら、ズラリ行列
官庁の前にならべて皆舌べろりと
出したらよかべいよ、
歳がしらのわしが音頭とつたら
皆揃つて舌噛み切つて死ぬべ。
乳しぼりの歌
とばしり出るものの為めに、
讃歌をうたへ
白きものであつて、且つ甘きものの為めに
牛よ、お前はよく食ひ、よく眠る、
熱心に反芻し、
そしてありありとお前の額には、
苦痛の色を漂はす、
私はお前を、いとしいと思ひ
もし私が柔らかいお前の乳房にふれることが
どんなにお前に苦しみを
与へるだらうかとさへ思つた、
私には爪があり力が強かつたから
時には乱暴にしぼることもあつたから――。
私は観念し
泣きながらお前の乳にしがみついた
私の職業は乳しぼり、
お前の額をブン殴る
牛殺しと五十歩百歩の私
愛すべきものよ、牛よ、ゆるせと私は叫んだ、
お前の膨大な暗黒な体の下にかが
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