をつけた。
それもよかべ、度胸がきまるべ、
ついでに其の火の中へ
餓鬼を投りこんだら、尚更な――、
身軽になつたら
さあ、出かけべい村の衆。
明日はこの村には役場と駐在所だけが
ポツンと立つてゐべい、
村はみなガラあきになるべ、
やれ、威勢よく、石油鑵、誰が、ブッ敲くだ、
どんどん、タイマツつけて賑やかなこつた。
馬の野郎まで
行きがけの駄賃に、
馬小屋のハメ板ケッ飛ばしてゐるだ、
俺達も別れに、
役所の玄関に
ショウベン、じやあ/\やつて行くべよ。
何を、嫁はメソ/\泣いてゐるだ、
どうせ太鼓腹、
ツン出しては歩るきにくかべ、
腹の子、オリないやうに馬車の上に
うんとこさ、布団重ねて
乗つて行つたらよかべ。
――お天道さまと、生水とは
何処へ行つてもつきものだに。
河原に着いたら餓鬼共の、
頭、河に突込んで
腹、さけるほど水のませろ、
ヘド吐いたら、砂金飛び出すべよ。
せつぱつまつた村の衆の
七つの山越だに。
焼くものは、焼くだ、
ブッ潰すものは、ブッ潰し、
一つも未練残らねいやうにしろ。
生物といつたら
ひとつも忘れるでねいぞ、
村ひとつブッ潰し
砂金山へ出かけるだ、
行列、三町
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