私はけつして浮かれてゐない、
私は突然に生れてきたものではないし
何等特別な経歴がない、
私はプロレタリア、
私は彼等のために
俗に平凡と名づけられる
生涯をこれまで押しつけられて
こゝまで長生してきたのだ、
だが今は決して通俗的な階級でない、
特異なものだ、
我々が痙攣を終へたとき
彼等が痙攣を始めた
恐怖の身ぶるひを――、
我々はこれを見てゐる
我々は惨忍を愛してゐない、
だが今は愛さなければならない
この行為は認められる、
我々の相手よ、
針の千本ものんで苦しめ、
首に麻繩を千べんも巻け、
鬚を剃るためのカミソリは
すぐ咽喉のために用意されてゐるのだから、
労働者たちは性格の
特異性を最大級に
発揮しなければならないし
インテリゲンチャの泣きごとは
戦ひの良い伴奏曲だ、
少くとも彼等が神を信ずるやうに
我々は我々の行為の信仰に
階級的ヱゴイストでなければならない、
生活を特殊化し
魅力あるものとせよ、
我々の冷静にはいつも魂胆がある、
彼等にとつては
覗《うかゞ》ひしれない
それは深いところにある。


調和を求めて

私のいちばん求め愛着のあるものは
それは調和だ、
あらゆる調
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