の歌』を歌つてやる、
生の中にあつて
生きてゐることを知らない者へも同様に――、
そして私は彼等を罵る、
――君等は、もう生きてゐないと、
青春を粗末にするものには
早く老いてしまへと祈つてやらう。
私は知らない
私や友の魂の行衛を、方向を――、
何処に昇つて行く梯子があり、
何処に君が降りてゆく階段があるかを、
私が知つてゐるのは
上へも下へでもなく困難な前方へだ、

私は自分の通る路を
自分の感情で舗装して進む、
他人の路ではなく自分の路で
他人の不安を借り物にするのではなく
自分自身の不安の路だ、
私は他人に私の路を、さし示すほど
勇気はもつてゐない
友は、諸君はまた、ひたむきに歌ふ
喜怒哀楽の良い楽器だ、
私もまた雨の中で感情の太鼓を打たう、
そして期待する晴天の日を、
私は疲労を忘れて
勇気ある鼓手たることを望む。


おとなしい人

なぐさまれない一日よ、
だが不満を捨てるゴミ箱はない、
味方にぶつぶついふことは
味方がたまらないだらう、
敵にむかつて自分の不満をさらけだすこと
つまり――敵に甘えることだ、
味方には愛情
敵には攻撃以外の何ものもなし、
さて、我々の不満よ、
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