ふためにではなく
生活のために生きてゐるのです。
といふほどに、今では大胆な言葉を
吐くことができます、
労働のために握りしめられた手を
私はそつと開いてみます、
そこには何物もありません
ただ憎しみの汗をかいてゐるだけです、
御安心下さい、
私は東京に落ちつきました。
自分の路・他人の路
すばらしい哉、
私は好むとほりの生活を
こゝまで、やり通して来た、
そしてこゝに誰に遠慮なく、怒り、泣き、歓喜し、
虚偽を憎むことが出来る、
片意地な奴等のために
階級的片意地をもつて答へてやれるし
潔白な友へは、
開つぴろげて魂を売り渡してやる、
潮のさし引きよりも
もつと移り変りの激しい
感情の使ひ跡をはつきりと私は知つた
人間へも、また猫へも、犬へも
花へも、樹木へも、
あらゆる人間以外のものにも
彼等の希望を代弁してやらう。
小さい頃の憧憬は消え去らない
青春の恍惚は去らないのだ、
一日、一日と水々《ママ》しく
むしろ是等のものが倍加される、
私の生活を封鎖しようとする奴のために
悪態を吐くことの
なんといふ喜びだらう。
死の中にあつて
死の存在を知らない馬鹿者のために
私は『死
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