い糞をするために
小さなケツの穴であるな、
あゝ、何と罵しりをもつて
終始する日が続くことだらう、
だが、私は決して悲しまない、
議論をもつて君が私と直面する刹那に、
君は火花のやうに、
私の胸へ理解を叩きこんでくれる。


姉へ

アカシヤの花の匂ひの、
プンと高く風にただよふところに――、
私の姉は不幸な弟のことを考へてゐるでせう
酔つてあばれた
ふしだらであつた弟は
いまピンと体がしまつてゐるのです。
そして弟は考へてゐるのです、
苦労といふものは
どんなに人間を強くするものであるかを。
私は悲しむといふことを忘れました、
そのことこそ
私をいちばん悲しませ、
そのことこそ、私をいちばん勇気づけます
私が何べんも都会へとびだして
何べんも故郷へ舞ひ戻つたとき
姉さん、あなたが夜どほし泣いて
意見をしてくれたことを
はつきりと目に浮びます、
――この子はどうして
 そんなに東京にでゝ行きたいのだらう、
弟はだまつて答へませんでした、
運命とは、私にとつて今では
手の中の一握りのやうに小さなものです。
私はこれをじつと強く、
こいつをにぎりしめます、
私は快感を覚えます、
――私は喰
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