やうに
嵐の歌と日本晴の歌をうたふ
きのふと今日は激しくちがふ
私は何故そのやうに気まぐれであるか
私の過去はなんと不幸な生涯だつたらう、
私の首はいつも敵に咬へられてゐた、
私の生活はいつもふり廻された、
きのふは嵐、
けふは晴天、
明日はおそらく嵐だらう、
私は嵐と晴天の混血児だ、
私の生活は激変する空のやうだ。

貧乏とはそもそも詩であるか――
時折さう考へる
それほどにも私は詩を書いて
貧乏とたたかひ、
詩を書いて――自殺を思ひとどまる、
詩よ、私の生活、
私のタワリシチよ、
どうやら詩と私とはぴつたりしてゐるらしいんだ、
批評家よ、聖者よ、
プロレタリアの感情の規律を
どう理解したらよいか
それを私に教へたまへ、
おゝ、女の唇よ、現実よ、
かく歌ふその気まぐれに鞭を加へよ、
ぶつぶつ言ふ友よ、
君のために、君の鳴らない太鼓と
おつき合ひをして調子を落して
叩くなどといふことは死んでもいやだ、
君は君の太鼓の皮を取りかへ給へ、
私は私の太鼓を乱調子でうつ、
それが私の太鼓の個性なんだ、
すべての敵よ、私のために現はれよ
いりみだれた戦ひの美しさ、
私は反抗以外に何事も忘れた、

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