世界は地つゞき
水つづきだ
風が吹いて来るとプンプンと
ソバと小麦が匂つてくる。
同志、行つて来いソヴェ[#「エ」は小さい「ヱ」]ートへ。
俺達はこゝにゐて聞かう
トラクター、ステーションの
旗のはゞたき、
ドニヱプロ・ストロイの
八十一万馬力の
落下する水の響きを――。
あそこでは
世界の不景気騒ぎをよそにして
九千百九十六万ヘクターの
収穫カンパの真最中だから。
派遣代表者諸君
日本の豚は
かういふ手つきで
幣束を数へるとか、
内股がすれるほど肥えてゐるから
歩るきつぷりが斯うだとか、
金ののべ棒をもつた
馬占山を追つかけ廻したときの
ラッパの吹きやうなどを
上手なみぶりで報告して
集団農場や工場やサークルの
若い突撃隊員を笑はしてくれ。
日本の羅紗工場は
夏の間から今も引続き労働強化だ。
重い、厚い、黄色い
兵隊の冬[#「冬」に「ママ」の注記]套をせつせと造つてゐる。
この外套を、誰れが、どこで
何を目的に、着るかを
日本の労働者、農民のことごとくが、
はつきりと知つてゐるといふことを
伝へてくれ。
同志よ俺たちへの土産は
マクニドゴルスク第二溶鉱炉の
火のやうな労働者の意志が
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