でもなつてゐたら
 粥位はすゝれて居るだらうに』と
だが今では相撲も百姓も
粥をすゝれない点では同じことだ、
残るところは何処か
大テーブルを拡げてゐる広野
そこには鑵詰と重食パンと
飯とが豊富だ、
村の子たちはこのテーブルに坐れば
まず喰ふ方は心配がいらない、
国民のことごとくの食糧はこゝに、
君は寸端れの巨大漢として兵役免除、
食事の皿の上に
突然弾が落ちてくると
食事半ばに箸を投りなげて突戦だ、
だが再び残した飯を
食べに帰るものが何人あるだらう、
君は村の若者たちの辛苦に対しても、
君は君の頭の上の
髷に感謝して良いと思ふ。
私はお贔屓の一人として忠告したい、
君は近頃さつぱり相撲勝負では
闘志がなくなつて
転んで怪我をしないやう、
しないやうにその事許り
気にしてさつさと手をつくといふ
噂がもつぱらだ。
噂するものには噂をさせてをき給へ。
妙な意地を張つて
無理な転びやうをし給ふな、
体も大きいだけ怪我も大きいだらう
怪我をして母親を心配させるな
協会では君をけつして
失業させないだらうから安心したらいゝ
君は土俵に立たなければならない
小学生の人気のためにも
君が是非大きな
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