――、
もし君が曖昧さを真実憎むのであつたら、
そのものに就いて憎み燃え尽きることだ、
私はにくみつくし
そして更に綿々としてにくしみは続く
私は彼等を
驚ろかすに足りる妖怪と
なることをむしろ名誉とする、
私は首をはねられるときまで
歌ひつづけることができるらしい、
私は咽喉をうるほすとき
ビールの運命をしみじみと
考へてやつたことはない、
あるひはビールの奴は私の酔つぱらひを
笑つてゐるかもしれぬ、
だが私はいつも私のために
奴を平然と呑み下す
だが友は私のやうにしない
シェ[#「エ」は小さい「ヱ」]ストフ的に麦酒を悲しんでのむ、
それは彼にとつてはビールを
のんだことにならないだらう、
ビールを吐き出したことになるだらう、
私は対象を吸収するために
この世に生れてきたものだ、
私はかうした朗らかな方法をとる
無産者の健康法だと思つてゐる
だから私は真実に酔ひ
且つ健康でゐられるのだらう。
それぞれ役あり
大きな邸に十人の女中、
五人の書生、
書生さんの言ふことには
わしらの仕事は楽にちがひない、
一人の書生は
朝から縁側に腰かけて
手にした筆に水をひたしては
御主人の御愛
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