おムツを乾すことはならぬ
――戸外にでゝ夫婦喧嘩は相成らぬ
竜王や子息さまの
すべて目ざはりになることは
櫓から見えるところで
やつてはいかん
犯したものは厳罰ぢや
そしてヤグラの下の
所謂、民情は
しだいに整頓され清潔になつていつた
しかし王の子供達には
何の教育にもならなかつた
そして人々はしだいに
櫓の下から離れて
とほくに住居を移して行つた
闘牛師
私は詩の闘牛師
牛とたたかふ人気者であり
派手でありたい
民衆はほんとうは詩人を愛してゐる、
だが、これまでの詩人が愛されなかつたのは
すべての詩人が嘘つきであつたからだ、
友よ、銅鑼が鳴るとき
連れだつて揃つて
気取つて出て行かうよ、
個性にピッタリとしたスタイルをしてね、
細心に、堂々と、そして鋭い武器を手にして。
現れよ、
最も肥えた精悍な奴
我々は風車とたたかふドンキホーテではない、
必要なものはドンキホーテの
不撓不屈の精神であつて
ドンキホーテの選んだ風車であつてはいけない、
選択せよ、
君は敵の種類を
死んだものではなくて
生きたものを、
ああ、牛は我々の肉体から
血を欲してゐる、
我々はこばむ
我々の尊い血を
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