岨で、おがみうち。
バラバンのバン
破れ銅鑼を、敲かうよ。
バラバンのバン
月はぼんやり、街の上
やけのやんパチ、酒場の扉、
酔ふて、もたれりや、ギイとあく。
バラバンのバン
破れ銅鑼を、敲かうよ。
バラバンのバン
波は太平洋の、腐れ波
浮世ドブロク、この世は地獄、
心中しよにも、相手なし。
バラバンのバン
破れ銅鑼を、敲かうよ。
バラバンのバン
一万三千尺、富士の山
せまい日本が、一眼に見える、
お花畑で、カルモチン。
バラバンのバン
白い雀
花崗岩の上に樹がある、
それは美しい桜の花であつた。
この種の奇蹟は到るところにある。
奇蹟を笑ふものに呪ひあれ。
広場に立てならべた銃は
天に舞ひあがるだらう。
革命旗は窓懸けになるだらう。
私は信頼する
ミカドの国の奇蹟を、
眩き日本の現出を、
日本はノアの箱船、
沈静な歓喜を積む。
同族の肌は、この小さな場所に寄り添ふ。
やがて新しい峯に到着する。
『君は見たか白雀を!』
『私は、白い雀を見ない!』
前へ
次へ
全47ページ中35ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング