、見せてやったりする。
もし外国の学者でも来て名刺を通ずると、ファラデーは実験を中止し、今まで出た結果をちょっと石盤に書きつけて、階上に来り、親切にいろいろの物を見せる。帰ると、再び実験に取りかかる。
午後二時半に昼食[#「午後二時半に昼食」に傍点]をし、それから書斎にはいる。室には、質朴な家具があり、窓の所にゴムの植木がある。ここで手紙を書いたりする。学会でもある日だと、出かける。帰ると、また実験室に行き、夕方[#「夕方」に傍点]にはやめて階上に来て細君や姪と賭《か》け事をしたり、謎をかけ合ったり、もしくはシェクスピアかマコーレーを声高に読む。その中に夕食[#「夕食」に傍点]になる。家族が集まっているので、朝出来なかった礼拝[#「礼拝」に傍点]をする。これで[#「これで」に傍点]、一日が暮れるのである[#「一日が暮れるのである」に傍点]。
夏の夕方[#「夏の夕方」に傍点]には、細君や姪をつれて散歩に出かける。よく動物園[#「動物園」に傍点]に行った。新しく来た動物を見たり、猿がいろいろないたずらをするのを見て喜び、果ては涙ぐむことさえもある。
また金曜日の夕方[#「金曜日の夕
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