ース君はいつも朝の講演を聴きに来る。これはファラデーの話し方のまずい所や[#「話し方のまずい所や」に傍点]、発音の悪い所を見出すためで[#「発音の悪い所を見出すためで」に傍点]、ファラデーはその通り全部訂正はしないが、しかし引きつづいて遠慮なく注意してくれというていた。」
ファラデーは前もって「ゆっくり」と書いた紙を作って置いて、講演が少し速くなり過ぎると思うと、助手のアンデルソンが傍から見せる。また「時間」と書いたのを作って置いて、講演の終るべき時間が近づくと、見せて注意するというようにしたこともある。
よく雛形を持ち出して説明をした。雛形は紙や木で作ったこともあるが、馬鈴薯を切って作ったこともある。
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晩年の時代
四二 一日中の暮し
ファラデーの一生は冒険もなく変化もない。年と共に発見もふえれば、名声も高くなるばかりであった。
ファラデーの人となりは極めて単純である。しかしファラデーその人を描き出そうとすると、中々容易でない。種々の方面から眺めて、これを一つにまとめて、始めてファラデーなるものの大概がわかるであろう。
ファラデー
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