出来たてで、その会員の人々にも心易くなった。
 一八一五年五月には引き続いて王立協会に雇わるることとなって、俸給も一週三十シリング(十五円)に増したが、その後に一年百ポンド[#「一年百ポンド」に傍点](一千円)となった。
 今日に残っている実験室の手帳[#「手帳」に傍点]を見ると、この年の九月から手が変って、化学教授のブランドの大きな流し[#「流し」に傍点]書きから、ファラデーの細かい奇麗な字になっている。デビーは欧洲へ出立するとき教授をやめて、ブランドが後任となり、デビーは名誉教授[#「名誉教授」に傍点]となって研究だけは続けておった。

     二〇 デビーの手伝い

 この頃デビーは※[#「火+稲のつくり」、第4水準2−79−87]《ほのお》の研究をしていた。これは鉱山で、よくガスが爆発して、礦夫の死ぬのを救わんため、安全灯[#「安全灯」に傍点]を作ろうという計画なのである。ファラデーもこれを手伝った。デビーの安全灯の論文の初めにも、「ファラデー君の助力を非常に受けた」と書いてある。
 デビーは金網を用いて火※[#「火+稲のつくり」、第4水準2−79−87]を包み安全灯を作った
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