く死んだが、幼い時から科学や数学が好きでかつ上手であった。コンコード(またルムフォードとも呼ぶ)から教師に呼ばれたのが十九歳[#「十九歳」に傍点]の時で、風采が美しかったが、金持のロルフ大佐の寡婦《かふ》と結婚した。このとき夫人は三十三歳[#「夫人は三十三歳」に傍点]である。その中にアメリカ独立戦争が起ったが、知事のウエントオースはルムフォードの馬に乗った姿を見て気に入り、一躍して少佐にした。しかし友人から猜《そね》まれて、独立軍に忠実でないという嫌疑を受け、調べられたりしたので、終《つい》に一七七五年に英国に逃げて来て(妻子は置いたまま)、殖民省の官吏になった。またとんとん拍子で出世して、四年の内には次官にまで昇進した。この間に科学の研究をし、ことに火薬の研究が有名で、ローヤル・ソサイテーの会員[#「会員」に傍点]にも推選された。一七八二年には、大佐に任命されて、アメリカにおる英国の騎兵隊の総指揮官になり、威風堂々とニューヨルクに繰り込み独立軍と戦いに来た[#「独立軍と戦いに来た」に傍点]。
 しかし、アメリカは独立したので、翌年英国に帰った。うまい事もないので、オーストリアとトルコ
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