くは、一|半《はん》は佛教《ぶつけう》から一|半《はん》は道教《だうけう》の仙術《せんじゆつ》から出《で》たものと思《おも》はれる。
 日本《にほん》が化物《ばけもの》の貧弱《ひんじやく》なのに對《たい》して、支那《しな》に入《い》ると全《まつた》く異《ことな》る、支那《しな》はあの通《とほ》り尨大《ぼうだい》な國《くに》であつて、西《にし》には崑崙雪山《こんろんせつざん》の諸峰《しよぼう》が際涯《はてし》なく連《つらな》り、あの深《ふか》い山岳《さんがく》の奧《おく》には屹度《きつと》何《なに》か怖《おそろ》しいものが潛《ひそ》んでゐるに相違《さうゐ》ないと考《かんが》へた。北《きた》にはゴビの大沙漠《だいさばく》があつて、これにも何《なに》か怪物《くわいぶつ》が居《ゐ》るだらうと考《かんが》へた。彼等《かれら》はゴビの沙漠《さばく》から來《く》る風《かぜ》は惡魔《あくま》の吐息《といき》だと考《かんが》へたのであらう。斯《か》くて支那《しな》には昔《むかし》から化物思想《ばけものしさう》が非常《ひぜう》に發達《はつたつ》し中《なか》には極《きは》めて雄大《ゆうだい》なものがある。尤
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