》は甚《はなは》だ幼稚《えうち》で、或《あるひ》は殆《ほとん》ど無《な》かつたと言《い》つて可《い》い位《くらゐ》だ。日本《にほん》の神話《しんわ》は化物《ばけもの》の傳説《でんせつ》が甚《はなは》だ少《すくな》い。日本《にほん》の神々《かみ/\》は日本《にほん》の祖先《そせん》なる人間《にんげん》であると考《かんが》へられて、化物《ばけもの》などとは思《おも》はれて居《ゐ》ない。それで神々《かみ/\》の内《うち》で別段《べつだん》異樣《いやう》な相《さう》をしたものはない。猿田彦命《さるたひこのみこと》が鼻《はな》が高《たか》いとか、天鈿目命《あまのうづめのみこと》が顏《かほ》がをかしかつたといふ位《くらゐ》のものである。又《また》化物思想《ばけものしさう》を具體的《ぐたいてき》に現《あら》はした繪《ゑ》も餘《あま》り多《おほ》くはない。記録《きろく》に現《あら》はれたものも殆《ほとん》ど無《な》く、弘仁年間《こうにんねんかん》に藥師寺《やくしじ》の僧《そう》景戒《けいかい》が著《あらは》した「日本靈異記《にほんれいいき》」が最《もつと》も古《ふる》いものであらう。今昔物語《こんじや
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