形《かたち》を創造《さうざう》する。故《ゆゑ》に化物《ばけもの》は各時代《かくじだい》、各民族《かくみんぞく》に必《かなら》ず無《な》くてならない事《こと》になる。隨《したが》つて世界《せかい》の各國《かくこく》は其《その》民族《みんぞく》の差異《さい》に應《おう》じて化物《ばけもの》が異《ことな》つて居《ゐ》る。
二 各國のばけもの
ばけものが國《くに》によりそれ/″\異《こと》なるのは、各國《かくこく》民族《みんぞく》の先天性《せんてんせい》にもよるが、又《また》土地《とち》の地理的關係《ちりてきくわんけい》によること非常《ひぜう》に大《だい》である。例《たと》へば日本《にほん》は小島國《せうたうごく》であつて、氣候《きこう》温和《をんわ》、山水《さんすゐ》も概《がい》して平凡《へいぼん》で別段《べつだん》高嶽峻嶺《かうがくしゆんれい》深山幽澤《しんざんゆうたく》といふものもない。凡《すべ》てのものが小規模《せうきも》である。その我邦《わがくに》に雄大《ゆうだい》な化物《ばけもの》のあらう筈《はず》はない。
古來《こらい》我邦《わがくに》の化物思想《ばけものしさう
前へ
次へ
全27ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
伊東 忠太 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング