の表現《へうげん》即《すなは》ち形式《けいしき》を論《ろん》ずる順序《じゆんじよ》であるか、今《いま》は其《その》暇《ひま》がない。若《も》し化物學《ばけものがく》といふ學問《がくもん》がありとすれば、今《いま》まで述《の》べた事《こと》は、其《その》序論《じよろん》と見《み》るべきものであつて、茲《こゝ》には只《たゞ》序論《じよろん》だけを述《の》べた事《こと》になるのである。
要《えう》するに、化物《ばけもの》の形式《けいしき》は西洋《せいやう》は一|體《たい》に幼稚《えうち》である。希臘《ぎりしや》や埃及《えじぷと》は多《おほ》く人間《にんげん》と動物《どうぶつ》の繼合《つぎあは》せをやつて居《ゐ》る事《こと》は前《まへ》に述《の》べたが、それでは形《かたち》は巧《たくみ》に出來《でき》ても所謂《いはゆる》完全《くわんぜん》な化物《ばけもの》とは云《い》へない。ローマネスク、ゴシツク時代《じだい》になると、餘程《よほど》進歩《しんぽ》して一の纏《まと》まつたものが出來《でき》て來《き》た。例《たと》へば巴里《ぱり》のノートルダムの寺塔《じたふ》の有名《いうめい》な怪物《くわいぶ
前へ
次へ
全27ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
伊東 忠太 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング