、凄《すご》いものである。相貌《さうぼう》なども人間《にんげん》と大差《たいさ》はない。
 第《だい》三の化物《ばけもの》は本體《ほんたい》が動物《どうぶつ》で、其《その》目的《もくてき》によつて惡戯《あくぎ》の爲《ため》と、復仇《ふくしう》の爲《ため》とに分《わか》つ、惡戯《あくぎ》の方《はう》は如何《いか》にも無邪氣《むじやき》で、狐《きつね》、狸《たぬき》の惡戯《あくぎ》は何時《いつ》でも人《ひと》の笑《わら》ひの種《たね》となり、如何《いか》にも陽氣《やうき》で滑稽的《こつけいてき》である。大入道《おほにふだう》、一つ目《め》小僧《こぞう》などはそれである。併《しか》し復仇《ふくきう》の方《はう》は鍋島《なべしま》の猫騷動《ねこさうどう》のやうに隨分《ずゐぶん》しつこい。
 第《だい》四の精靈《せいれう》は、本體《ほんたい》が自然物《しぜんぶつ》である。此《この》精靈《せいれう》の最《もつと》も神聖《しんせい》なるものは、第《だい》一の神佛《しんぶつ》の部《ぶ》に入《い》る。例《たと》へば日本國土《にほんこくど》の魂《たましひ》は大國魂命《おほくにたまのみこと》となつて神《かみ
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