《でう》御息所《みやすみどころ》の生靈《いきれう》の如《ごと》きは即《すなは》ち夫《それ》である。日高川《ひだかがは》の清姫《きよひめ》などは、生《い》きながら蛇《じや》になつたといふから、之《これ》も此《この》部類《ぶるゐ》に入《い》れても宜《よ》い。死靈《しれう》は、死後《しご》に魂《たましひ》が異形《いげう》の姿《すがた》を現《あら》はすもので、例《れい》が非常《ひぜう》に多《おほ》い。其《その》現《あら》はれ方《かた》は皆《みな》目的《もくてき》に依《よ》つて異《こと》なる。其《その》目的《もくてき》は凡《およ》そ三つに分《わか》つことが出來《でき》る。一は怨《うらみ》を報《はう》ずる爲《ため》で一|番《ばん》怖《こわ》い。二は恩愛《おんあい》の爲《ため》で寧《むし》ろいぢらしい。三は述懷的《じゆつくわいてき》である。一の例《れい》は數《かぞ》ふるに遑《いとま》がない。二では謠《うたい》の「善知鳥《うとう》」など、三では「阿漕《あこぎ》」、「鵜飼《うがひ》」など其《その》適例《てきれい》である。幽靈《ゆうれい》は概《がい》して全體《ぜんたい》の性質《せいしつ》が陰氣《いんき》で
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