が、私《わたし》の考《かんが》へて居《ゐ》るばけものは、餘程《よほど》深《ふか》い意味《いみ》の有《あ》るものである。特《とく》に藝術的《げいじゆつてき》に觀察《くわんさつ》する時《とき》は非常《ひぜう》に面白《おもしろ》い。
ばけものゝ一|面《めん》は極《きは》めて雄大《ゆうだい》で全宇宙《ぜんうちう》を抱括《はうくわつ》する、而《しか》も他《た》の一|面《めん》は極《きは》めて微妙《びめう》で、殆《ほとん》ど微《び》に入《い》り細《さい》に渉《わた》る。即《すなは》ち最《もつと》も高遠《かうゑん》なるは神話《しんわ》となり、最《もつと》も卑近《ひきん》なるはお伽噺《とぎばなし》となり、一|般《ぱん》の學術《がくじゆつ》特《とく》に歴史上《れきしじやう》に於《おい》ても、又《また》一|般《ぱん》生活上《せいくわつじやう》に於《おい》ても、實《じつ》に微妙《びめう》なる關係《くわんけい》を有《いう》して居《ゐ》るのである。若《も》し歴史上《れきしじやう》又《また》は社會生活《しやくわいせいくわつ》の上《うへ》からばけものといふものを取去《とりさ》つたならば、極《きは》めて乾燥無味《か
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