れて、しかも純木造《じゆんもくざう》に改竄《かいざん》されたのは、やはり材料《ざいれう》と國民性《こくみんせい》とのためで地震《ぢしん》を考慮《かうりよ》したためではない。
爾來《じらい》日本建築《にほんけんちく》は漸次《ぜんじ》に進歩《しんぽ》して堅牢《けんらう》精巧《せいかう》なものを生《しやう》ずるに至《いた》つたが、これは高級建築《かうきふけんちく》の必然的條件《ひつぜんてきでうけん》として現《あらは》れたので、地震《ぢしん》を考慮《かうりよ》したためではない。
日本《にほん》に往時《わうじ》高層建築《かうそうけんちく》はおほくなかつた。たゞ塔《たふ》には十三|重《ぢう》まであり、城堡《ぜうほう》には七|重《ぢう》の天守閣《てんしゆかく》まであり、宮室《きうしつ》には三|層閣《さうかく》の例《れい》があるが、一|般《ぱん》には單層《たんそう》を標準《へうじゆん》とする。
これは多層建築《たそうけんちく》の必要《ひつえう》を見《み》なかつたためで、地震《ぢしん》を考慮《かうりよ》したためではない。
地震《ぢしん》を考慮《かうりよ》するやうになつたのは、各個人《かくこじん》
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