が眞劍《しんけん》に生命《せいめい》財産《ざいさん》を尊重《そんてう》するやうになり、都市《とし》が發達《はつたつ》し科學思想《くわがくしさう》が普及《ふきふ》してからのことで、近《ちか》く三百|年來《ねんらい》のことと思《おも》はれる。
今《いま》や社會《しやくわい》は一|回轉《くわいてん》した。各個人《かくこじん》は極端《きよくたん》に生命《せいめい》を重《おも》んじ財産《ざいさん》を尊《たつと》ぶ、都市《とし》は十|分《ぶん》に發達《はつたつ》して、魁偉《くわいゐ》なる建築《けんちく》が公衆《こうしゆ》を威嚇《ゐかく》する。科學《くわがく》は日《ひ》に月《つき》に進歩《しんぽ》する。
國民《こくみん》はこゝにおいてか眞劍《しんけん》に耐震的建築《たいしんてきけんちく》の大成《たいせい》を絶叫《ぜつけう》しつゝあるのである。(完)
[#地から2字上げ](大正十三年四月「東京日日新聞」)
底本:「木片集」萬里閣書房
1928(昭和3)年5月28日発行
1928(昭和3)年6月10日4版
初出:「東京日日新聞」
1924(大正13)年4月
入力:鈴木厚司
校
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