いふ語《ご》は即《すなは》ちこれである。
しかし國民《こくみん》は生活《せいくわつ》の一|時的《じてき》なるを知《し》ると同時《どうじ》に、死《し》の恒久的《こうきうてき》なるを知《し》つてゐた。
ゆゑにその屍《しかばね》をいるゝ所《ところ》の棺槨《くわんくわく》には恒久的材料《こうきうてきざいれう》なる石材《せきざい》を用《もち》ひた。もつとも棺槨《くわんくわく》も最初《さいしよ》は木材《もくざい》で作《つく》つたが、發達《はつたつ》して石材《せきざい》となつたのである。
即《すなは》ち太古《たいこ》の國民《こくみん》は必《かなら》ずしも石《いし》を工作《こうさく》して家屋《かをく》をつくることを知《し》らなかつたのではない。たゞその心理《しんり》から、これを必要《ひつえう》としなかつたまでゞある。
若《も》しも太古《たいこ》の民《たみ》が地震《ぢしん》を恐《おそ》れて、石造《せきざう》の家屋《かをく》を作《つく》らなかつたと解釋《かいしやく》するならば、その前《まへ》に、何《なに》ゆゑにかれ等《ら》は火災《くわさい》を恐《おそ》れて石造《せきざう》の家《いへ》を作《つく》ら
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