日《こんにち》の状態《ぜうたい》は如何《いかゞ》であるか、外語研究《ぐわいごけんきう》の旺盛《わうせい》はまことに結構《けつこう》であるが、一|轉《てん》して漫然《まんぜん》たる外語崇拜《ぐわいごすうはい》となり、母語《ぼご》の輕侮《けいぶ》となり、理由《りいう》なくして母語《ぼご》を捨《す》て、妄《みだ》りに外語《ぐわいご》を濫用《らんよう》して得意《とくい》とするの風《ふう》が、一|日《にち》は一|日《にち》より甚《はなは》だしきに至《いた》つては、その結果《けつくわ》は如何《いかゞ》であらう。これ一|種《しゆ》の國民的自殺《こくみんてきじさつ》である。
 切《せつ》に希《ねが》ふ所《ところ》は、わが七千|餘萬《よまん》の同胞《どうはう》は、亘《たがひ》に相警《あひいまし》めて、飽《あ》くまでわが國語《こくご》を尊重《そんてう》することである。
 若《も》し英米《えいべい》霸《は》を稱《せう》すれば、靡然《ひぜん》として英米《えいべい》に走《はし》り、獨國《どくこく》勢力《せいりよく》を獲《う》れば翕然《きうぜん》として獨國《どくこく》に就《つ》き、佛國《ふつこく》優位《いうゐ》を
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