に限《かぎ》られたが、維新《いしん》以來《いらい》百|姓《しやう》町人《ちやうにん》總《すべ》て苗字《めうじ》を許《ゆる》されたので、種々雜多《しゆ/″\ざつた》な苗字《めうじ》が出現《しゆつげん》し、苗字《めうじ》を氏《うぢ》とも姓《せい》とも呼《よ》ぶ事《こと》になつて今日《こんにち》にいたつたのである。
 わが國《くに》固有《こいう》の風俗《ふうぞく》として家名《かめい》を尊重《そんちやう》する關係上《くわんけいじやう》、當然《たうぜん》苗字《めうじ》を先《さき》にし名《な》を後《あと》にし、苗字《めうじ》と名《な》とを連合《れんがふ》して一つの固有名《こいうめい》を形《かたち》づくり、これを以《もつ》て個人《こじん》の名稱《めいしやう》としたので、苗字《めうじ》を先《さき》にするといふことに、歴史的意味《れきしてきいみ》の深長《しんちやう》なるものがあることを考《かんが》へねばならぬ。
 東洋民族《とうやうみんぞく》は概《がい》して苗字《めうじ》を先《さき》にし名《な》を後《あと》にするの風習《ふうしふ》である。支那人《しなじん》はその適例《てきれい》である。
 ヨーロツパでも
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