苗字」に白丸傍点]といふべきもので、苗字[#「苗字」に白丸傍点]と姓[#「姓」に白丸傍点]と氏《うじ》とはその出處《でどころ》を異《こと》にするものである。
 姓《せい》は元來《ぐわんらい》身分《みぶん》の分類《ぶんるゐ》で、例《たと》へば臣《おみ》、連《むらじ》、宿禰《すくね》、朝臣《あそん》などの類《るゐ》であり、氏《うぢ》は家系《かけい》の分類《ぶんるゐ》で、例《たと》へば藤原《ふじはら》、源《みなもと》、平《たひら》、菅原《すがはら》、紀《き》などの類《るゐ》である。
 苗字《めうじ》は個人《こじん》の家《いへ》の名《な》で、多《おほ》くは土地《とち》の名《な》を取《と》つたものである。例《たと》へば那須[#「那須」に丸傍点]の與《よ》一、熊谷[#「熊谷」に丸傍点]の直實《なほざね》、秩父[#「秩父」に丸傍点]の重忠《しげたゞ》、鎌倉[#「鎌倉」に丸傍点]の權《ごん》五|郎《らう》、三浦[#「三浦」に丸傍点]の大介《おほすけ》、佐野[#「佐野」に丸傍点]の源左衛門《げんざゑもん》といふの類《るゐ》である。
 昔《むかし》は苗字《めうじ》は武士階級《ぶしかいきふ》以上《いじやう》
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