想と密接な關係を有して居つて、修行者は禪定三昧に入つて、我を忘れてしまはなければならぬ、然うすると神變不可思議力を得、初めて解脱の境に入ることが出來るといふやうなことも説いて居るので、此等の點は全く印度の思想と同じである、それであるから印度の密教は印度を中心として起つて、東北はニポール、西藏、支那、日本にも渉り、西は亞拉比亞、小亞細亞からして歐羅巴全體に擴つたのである、實に密教、即ち印度の思想は世界の宗教に向つて多大の影響を與へた。
終りに耶蘇教と印度の宗教といふことに就て一つ言つて置かねばならぬことがあります、耶蘇教といつても、特に舊教の會堂へ御這入になつたお方は、直ぐに分るが舊教では日本の佛教(即ち北方佛教)と似寄つた儀式が中々ある、舊教の坊さんは珠數を以て居る、珠數といふものは印度が元であつて、西洋に傳はつたのは、十世紀以後の事であります、夫れからして前に申しました通り、カトリツクの坊さんは苦行をしたものである、其の他瑣細な點は今論じませぬが、近頃斯ういふ事を言つて居る學者がある、耶蘇教の經文の中に佛典の言葉を引いてある所があると、之をいひ出したのは英吉利人でエドモンドといふ人で
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