のである、此譯が段々西方へ傳はりまして七百年の中程には波斯譯から更に亞拉比亞譯が出來た、ピルパイの物語と云ふ書物も亦是と同じである、サンスクリット語でヴイドヤーパチーといふ語は學者の意義で、夫れが訛つて亞拉比亞語ではビドバーとなり、更に近世歐羅巴語に轉じてビドパイ或はピルパイと成つたのである、亞拉比亞語の譯が出來てから又三百年ばかり後に於て希臘譯が成り次に羅甸、西班牙、ヘブリユとなり、夫から近代歐羅巴の伊太利語、佛蘭西語、英吉利語、獨逸語と方々に譯されて居る、エソツプ物語のエソツプは希臘の物語記者でありますけれども、學者に依つては實際エソツプといふ人は居ないのであると迄疑ふものもありますが、兎に角其のエソツプ物語と名づけて居るものの内にある多くの話は前の五卷書にあるものと一致して居る、而して此物語が諸國を遍歴する中には色々の標題に變つて居る、例へば伊太利譯には道徳哲學といふ堂々たる名が附けられ、佛蘭西譯の中には光明の書と標題を附けたのもある、色々其の名は違つて居るがツマリ此物語が元になつて出來て居るのである、諸君も御存じのアラビヤンナイトと云ふ書物は、元來印度に出來たのではありませぬが
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