が不死なることを得ると云ふことを聞き、何うかして其の藥を得たいものであると考へまして、此藥を求むる爲に特に其侍醫を印度へ遣はした、侍醫は王命に依つて其の靈藥を尋ねに往つたが何うも見當らない、何しても判らぬから已むを得ず或るバラモンの物識に逢うて之を問ふた、實は私は王の命令を受けて靈藥を求めに來たのだが何處に是を求むべきであらうかと、バラモンは之を聞いて云ふには夫れはあるが其靈藥は文字通りに解釋すべきものではない、印度には智惠の書といふものあるが、是を讀むと愚も賢となり、穢れたものは清淨となり、罪あるものも罪なくなる、是れが即ち靈に死する者の能く甦へり、不老不死を得る不思議の妙藥であると言つた、夫から彼の波斯王の侍醫は遂に其の書物のパンチヤタントラを得て歸つた、波斯へ歸つてから其の旨を王に言上し初めて之を波斯語に飜譯した、此の飜譯した書物の標題は是をカリラク、ダムナグと云ひます、此標題のカラタカ、ダマナカ(波斯音に轉訛して前の如くいふ)と云ふのは二疋の山犬の名であつて、實は彼の書物の第一卷目の主人公となつて、其の話の中に屡次出る所のものであるから、其主人公の山犬の名を取つて書物に名附けた
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