つては先づ自ら幾日間定に入ると云ふことを極める、而して其の間棺桶の中へ入つて地面の下へ埋まれ、マルで空氣も何も通はぬやうにしてしまふ、それから豫定の三週間なり四週間なりの時日が經つと之を掘上げる、其時はマルで死人同樣であるが、一定の手段方法によつて段々生返つて來るのである、彼のハリダースと云ふ人間は一番長く此の定に入ることが出來たのであります、で尚詳しく定に入る時の状態をお話申しまするですが、先づ定に入る前の豫備からして話しませう、ハリダースが定に入る最初の手段は、先づ自分で呼吸を止めると云ふことであります、是れは印度人の定に入るものヽ皆やる所であつて、是をするには中々長い間の修業を要する、先づ舌を延ばして上の方へ卷上げて喉頭を押へて呼吸を自分で止めるのであるが、初少しばかり押へる間は尚ほ微に呼吸が通ずるが終りには死人同樣に全然息が止つて而も何等の苦痛を感じないやうになる、が此の息を止める前には尚色々の豫備が要る、で愈定に入ると云ふことになりますと、其の二三日前からして此のハリダースは下劑を飮みまして而して腹の中の物を下し、其の間は牛乳を少しばかりづヽ飮むが他のものは一切取らない、何で
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