ふ信仰によつて、彼等は皆禪定に入らんと努めるのであります、而して此の定に入ると云ふことに就て、茲に一の不思議なるお話があるのである。
是れは餘り遠い古の話ではありません、曾てハリダースと云ふ印度人が居りました、此の人は近代に於て印度の聖人と言はれ非常に一代の人に尊敬された人であります、其故は此人が他の人間より勝つて長く定に入ることが出來たからであります、是に就ては英吉利人を始め各國人も度々試驗をしたのでありますけれども、實際想像も及ばぬ不思議な行をやつた、といふのは彼は一週間、二週間、三週間、四週間の間も定に入る、然うするとマルで死人同樣に成つてしまふ、が一定の時期が來ると再び生返つて來る、定に入つて居る間はマルで死人同樣だが、一定の時期の後には段々復活し、暫くにして元の人間に返つて仕舞ふ、で英吉利人も餘りに不思議なることであると云ふので、非常な嚴重な監督を附けて試驗をした事が何回もある、又印度には多くの回教徒が入込んで居りますが、是れは印度教の敵であり、何かと云ふと惡樣に言ひ觸らさんとするのである、で回教徒も是れを疑ひまして試驗したことがある。
扨此のハリダースが定に入らんとするに當
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