く分らないらしうございます。それから、リスとポンチと呼ばれる大きな猟犬が一つがひ。リスはポンチの奥さんなのですが、リスはなかなか旦那さまおもひで、自分ひとりだけでは決してごはんをいたゞかず、皆がわざとからかつて、リスの食器にだけ食物をやりますと、ポンチの空の食器をくはへてまいりポンチの分をさいそくいたすのでございます。それに鶏が十羽ほど。生きものゝ世話だけでも大変なことでございます。
二人の男衆がをりますがこのひとたちは馬屋の二階が部屋になつてゐまして、そこにねとまりいたし、ばあやとその孫娘の小浪ともうすちゞれ毛の少女は母屋の方に住んでをります。それに浩造さま御夫婦と私共、これだけがこの家の家族ですが、みんなさつぱりといたしてをり、なんの気兼もございません。
雪道を歩くにも働くにも、こちらの女のひとたちはモンペと申すモヽヒキのやうなものはいて居りますので、私もあの唐桟の着物をほどき、これからおまきさまに教へていたゞいてこしらへます。夫は冬の中に足ならしをしておくやう明日から山に猟に連れてゆくと申してをります。
ちつとも、心細いことございませんからご安心くださいませ。お母さまの神経
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